012 シリーズ:退職して全国各地の友人を訪ねてみた①諏訪市のI君

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一度勤めていた会社を退職した後、私は改めて行きたかった場所を自由に訪れる時間を得ることができた。その過程で、全国に散らばる友人を訪ねることもできた。
今回は、その内の一人である諏訪市在住のI君を訪ねたことについて話そう。

彼とは在職中の夏休みに諏訪市を訪れた時にも一度、一緒に遊んだことがあった。

諏訪五蔵の酒蔵巡り、タケヤ味噌会館の見学、夜の諏訪湖花火大会に諏訪湖温泉と、彼のおかげで二日間の諏訪市巡りは大変楽しいものとなった。
一人旅も楽しいと思っているが、現地を知る人に案内してもらう旅も面白いものだ。
短い時間で楽しもうとする程、ガイドの重要性が高まることを理解した。

今回はお互いの時間に制約があった為、一緒にいられる時間はそこまで長くはなかった。
しかし、一緒に昼食を食べたお店が素晴らしかったので、是非とも紹介したい。

ここ「うな富」は、諏訪地区でも屈指の人気を誇る名店と聞いている。
諏訪の食の名物はワカサギ・蕎麦・鰻と謳われているのを町で見かけた。県外の私は知らなかったが、諏訪湖では鰻の漁獲量がかなり多いらしい。

そこで私は蒲焼・白焼定食を注文した。

先ずは白焼について。黒く香ばしい皮と、鰆の様な白と灰色の身の色合いは見た目にも美しく、その身に箸を立てると薄黄色の脂が染み出してくる。
淡白な身の味に、脂と焼きの香り付けが実に食欲をそそるものだった。
そこに更に添えられた山葵と醤油をつけることで、清流の清涼感にも近い辛味と刺激が鼻を抜けていった。

蒲焼は、これに醤油や砂糖の甘味が加わり、米の消費を促してくる。白焼に感じた侘び寂びの様なものはなく、食欲という本能をより直接的に刺激する、もはや威力だ。
白焼は私の人間的な面を、蒲焼は私の動物的な面を刺激し、大変満足のいくものだった。

ところで鰻の蒲焼は関東風と関西風に分かれていて、関東風は背開きの蒸し焼き、関西風は腹開きの地焼き(そのまま焼くこと)の文化がある。
そしてその物理的な境は諏訪湖に水源を持つ天竜川だという。一つの湖から西と東に引っ張りだこだ、鰻なのに。

大変な人気店なので、11:30の開店の前の11時頃に並び始めたが、既に十数人の待ちが出来ていた。
その中でなんとか最初の入店組に入ることができたのは僥倖だった。もう数分遅れていたら更に30分程待つことになっていたところだ。

しかし待つ間も、彼とお互いの話を沢山することが出来たので苦ではなかった。
彼は人事異動によって再度、関東に戻るという。もう一度、彼を訪ねて久々に関東を訪れてみようか。

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