021 和歌山編 第四話 ザクは和歌山の梅干しの夢を見るか?

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④2/2 白浜町、田辺市、みなべ町

紀伊大島を出てからというもの、海風を受けながら海岸沿いのアップダウンを繰り返す、単調ながらキツいルートを修業の様に繰り返していた。そんな中でも、以前から個別に行こうと思っていた白浜町に行くことは楽しみにしていた。
南紀白浜と言えば、海と温泉のリゾート地として、世間的にも人気のある観光地である。最近では東京の羽田空港との間で、1日3便の往復があり、以前よりもアクセスが容易になったことも嬉しいことだ。

私は本筋ルートから少し離れて白浜町に入り込み、千畳敷の辺りを海岸沿いに走っていたら、足湯を幾つも見つけることができた。今回が初めての白浜町だったので、ここの温泉が硫黄泉であることを知らなかったのだが、海を眺めながら硫黄を感じるのは何とも不思議な感覚を覚えた。昨年に経験した屋久島の平内海中温泉も硫黄泉ではあったのだが、あそこでは海水と混ざることであまり強い硫黄感を感じることはなかった。
群馬の草津温泉然り、箱根の強羅温泉然り、硫黄泉は常々、山中でしか見かけることがなかっただけに、私は硫黄泉は全て火山性のものだと思っていた。しかし白浜温泉は火山性の温泉ではなく、フィリピン海から潜り込んだプレートから滲出した高温の地下水が滞留して出来たものらしい。


【南紀白浜・温泉パーク。海水浴で人気の南紀白浜は予想外の温泉大国だった。】

そして田辺市を経由し、本日の目的地であるみなべ町までやってきた。
田辺市とみなべ町、どちらも小さい市と町であるものの、ここで生産される梅の数が和歌山県内の8割近くを担うらしく、更に和歌山県の梅生産量は日本全国の総生産の過半数を占めるというレベルである。
私自身は、梅そのものは嫌いではないのだが、一般に売られている梅干しが大変苦手だ。その原因の大部分は、あのしょっぱさと、紫蘇及び香料由来と思える独特の臭気である。
そこで、格別な評価を受けている和歌山の梅干しならどうだろうかということで、和歌山県に入ってからは最終日までの間に3回食べてみた。
結論として、和歌山梅干しは市販のものよりはかなり食べやすいと私は感じた。その分析を少ししてみたいと思う。

酸味としょっぱさについて
これは素材と製法の両面で違う様に思えた。今回食べた梅干しは、酸味こそ市販のものより強かったが、塩によるしょっぱさが幾らか柔らかいと思えた。
私は酢による酸味が強いものが大抵嫌いな中、レモンをそのまま食べられることによく驚かれる。科学的な見解は兎も角、個人的には、酢から感じる臭気がレモンの様な果実との大きな差だと感じている。
因みに、私の家族は塩気の強い、しょっぱい梅干しを白米と食べるのが好きな人ばかりである。

臭いについて
今まで食べてきた梅干しに感じていた調味液や赤紫蘇の独特の臭いが、私が梅干しを苦手に感じる原因の一つだった。しかし、今回食べた和歌山梅干しにおいては、この臭いを感じることがなかった。塩だけで漬け込む梅干しには不必要なこの調味液と赤紫蘇は、恐らく大量生産品において保存を効かせる為には有効なのだろうが、私の味覚・嗅覚にはどうにも馴染まない。しかし大抵のラーメンやフレンチフライの様なジャンクフードを時々食べたくなるのと同じ様に、この味も好きな人達にとっては止められない味なのかも知れない。

今回の経験に似た様な経験をした覚えがある。私のもう一つ苦手な食べ物にマヨネーズがあるのだが、とある人物に手作りのマヨネーズを使った料理を作ってもらい、食べたことがある。後から苦手とも言い出せずに食べたが、それを割といけると思ったことに近い感覚だ。
量産品とワンオフ、例えばザクとガンダムの様なもので、それぞれにそれぞれの良さがあるものだと思うので、どちらが良いかを問うものではないが、私はザクよりガンダムの方が好きだということを実感した。(笑)


【みなべ町に沈む夕陽。陽が沈めば、今日という日が過去になる。太陽は時間の神様だろうか?】

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