017 慶野松原 松から学ぶべき親のあり方

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まだ寒さの残る三月最初の週、私は淡路島に初上陸した。私は離島訪問の経験は意外と少なく、沖縄本島を除いたらここでようやく四つ目だ。
だがここで、まさか離島で出会うとは思わなかったものを見つけた。それがタイトルの「慶野松原」で、またしても松原なのだ。

先日、気比松原の件で松原の植生についての投稿をしたが、それとの対比を含めて慶野松原の話をしようと思う。
読み終わる頃には、平仮名で読むと一文字しか違わないこの二松原の大きな違いを知ることが出来るでしょう。

まず、海岸に作られる松原の大半は黒松で出来ており、今回の慶野松原は黒松原にあたる。

黒松は名前の通り黒灰色の樹皮で葉先が硬く、つい質実剛健の強いイメージがあり、雄松とも呼ばれる。しかしその強いイメージと裏腹に、意外とくねくねと曲がりやすい可愛らしさもあるのだ。
そして何と言っても盆栽の花形で、渋さと上品さを兼ね備えている。一家に一鉢あっても良いかもしれない、インテリアに気軽に日本文化を取り入れよう。

一方、気比松原は赤松が八割を占める赤松原だ。
赤松は赤褐色の樹皮で葉先が柔らかく、雌松とも呼ばれる。また、松茸は通常は赤松にしか生えないという。
そして黒松とは対照的に真っ直ぐに育ちやすく、建築材としての利用が盛んだ。女性の芯の強さの様なものを感じさせる。

つまり、慶野松原は多数派に属しており、寧ろ先に紹介した気比松原は例外的なのだ。実は気比松原が三大松原の一つに数えられたのも、こういうところに一因はあるのかも知れない。

ところで、こうして松原について知識を集めて整理していくと、ふと思うことがある。

男と女のイメージで語られ、防風・防砂の役割を果たして人々を守り、更にその下にはキノコやシダ等、様々な植物が育つ。
そんな松の姿を見ていると、理想の父親や、子分から慕われる大親分の生き様に近いものすら感じる。

大きく力があり、それを以て家族(仲間)を守り、それを頼る者達からの信頼が篤い。もしキノコやシダに意思があったとしたら、単なる利害関係だけでなく、そんなリスペクトを松に払っているのかも知れない。まして人であれば尚更だろう。

私が小学生の頃には既に、児童虐待のニュースを目にする様になっていた。欲望に任せて子どもを持てば、それを己の欲望に任せて傷付ける様になるのだろう。
そんな今だからこそ、人は松の強さを見習うべき時なのではなかろうか?その姿に、人の上に立つ者の理想像を見るのだ。

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