025 自転車登坂日記 ①榛名(はるな)山〜苦しみを分け合って強める絆〜

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私はサイクリストであり、全国を旅している。そうすると、好むと好まざるとに拘らず、山がちな日本の国土の為に必然的に登坂をする必要が出てくるのだ。
そして私は決して登坂は得意ではないのだが、いつもいつでも旅をする度に、坂を登っている。
その一方で、苦しい思いの先にある達成感・解放感と絶景の歓迎は、普通の道を走っているだけでは中々得られないもので、ついつい登ってしまうのだ。

11月末、群馬県高崎市にある榛名(はるな)山を登った。大学生時代の友人で、同じく自転車乗りで群馬県出身のT君と共に。

曇り空の下、冬場だというのに息を切らし、汗を垂らしながら脚を回し続けて、山を登っていった。頂上の榛名湖に近づくにつれて雨が降り出し、身体を流れる水が汗か雨かの区別がつかなくなってきた。

そして榛名湖に辿り着いた時には雨は一度止み、広大な榛名湖と榛名山を眺めることができた。
苦しい登坂をやり切り、辿り着いた先に開けた景色は静かに広がる榛名湖と美しい榛名富士。天候だけが悔やまれた。

帰り道には雨は霧に変わり、山を降りた時には細かい雨となって身体にまとわりつく。降りで加速することで向かい風が強くなり、身体を覆う水分が急激に気化して体温を奪っていく。
暫く走っている内に身体の動きが明らかに悪くなったので、途中の喫茶店で休憩してなんとか残りを走り切る体力を回復し、無事に下山することができた。

登りで生きる苦しみを味わい、降りで死にかけたことで、冬の山の危険さを身に沁みて実感することとなった。山はやはり簡単ではない、まるで人生の縮図の様だ。
そして私と同じ様な苦しみを、友人も一緒に経験したことになる。自分が苦しい時こそ彼にも申し訳ないと思いつつ、一人では折れそうになった苦行を乗り切れたことについて、彼に感謝もしている。

今回の話は、彼と会う度に「過去1番キツかったヒルクライム」として話題に挙がっている。
当時はとても辛かったのに、今は良い笑い話になっている。思い切り楽しいかキツい経験が、後でおいしい思い出になるのだ。
それもまた、思い出を分かち合う友人がいるからこそ。

彼とはその後も何度も一緒に走っており、その度に思い通りにいかないトラブルも経験しながらも、懲りることなく走り続けている。
楽しいことも辛いことも分かち合ってきた友人関係は、強く繋がって続いていくものなのだろう。
読者の皆様も、大事な友人と共に大変な作業をしてみるのは如何だろうか?

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