047 私のお気に入りの場所:①龍泉洞

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誰にでも、お気に入りの場所というものがある。
それが出来上がる契機は幼年期の思い出や思春期の出来事など、人それぞれだとは思うが、確かにあるのだ。

私は、概して水に満たされた空間が好きだ。
開けた大海や湖も好きだが、どちらかというと鬱蒼とした森の中に流れる河川の様な、静かな世界を好んでいる。
それは恐らく、幼年期の川遊びやキャンプの思い出に拠るところがあり、また私自身に心の平静を保てる静けさを求める性質があるからだろう。自転車で都会の喧騒を離れて出かける時も、大抵は山の中に入っていく。

その中でも私のお気に入りである、岩手県の岩泉町にある龍泉洞を今回は紹介したい。

5年前の8月中頃、私は東北地方を青森から南下していく過程で、岩手県に立ち寄った。
盛岡市に3日間滞在し、その内の一日は中心地の盛岡で、昼は東家でわんこそばに挑戦し、110杯を食べたことで手形と証明書を貰った。
ここでは100杯を超えると手形が貰えるので、わんこそばに挑戦したという思い出を明確な形に出来る。
夜は冷麺と焼肉を食べ、この日は盛岡市の名物の食べ歩きを楽しむことが出来た。

そして別の一日で、今回の龍泉洞まで足を伸ばした。
ここ龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つであり、内部はかなり涼しく保たれている。
8月の中頃、外気温が23.4℃のところ、洞内は15.9℃と驚きの涼しさだ。

8月中頃にして24℃程度で収まる岩手県や東北地方の涼しさが、夏の緑の彩りに爽やかな風を添えてくれる。夏のサイクリングも快適に楽しめるので、私は東北が好きなのかも知れない。

そしてこの龍泉洞、単に鍾乳洞なだけではなく、大量の水を湛える地底湖も備えている。
私は静かな洞窟の暗闇の中で、日常で忘れかけている心の平静を取り戻す。そして鍾乳石から滴る水の音や、ささやかな人の声の反響、そして湖に波打つ波紋を眺めることで、精神の安定を感じた。
昨今はサウナで身体の調子を整えるのが流行っているが、鍾乳洞は精神のサウナだと言っても良いかも知れない。加えて洞窟内は様々な色の電飾がされており、大変写真映えするのだ。

あまり多くの人が押し寄せて騒がしい場所にはなってほしくないと思う一方で、人気スポットとして注目も浴びてほしいと思い、それによってこの場がきちんと維持・管理されてくれれば良いと願っている。

この素敵な空間が他の誰かにとっても心を安定させるお気に入りの場所、心の拠り所になれば良いと思う。私も再び、この地を訪れる時を楽しみにしている。

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