051 夏の風物詩 前編 -日本の夏文化と夏野菜-

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夏の風物詩の野菜といえば、何を思い浮かべるだろうか。先ずはスイカは欠かせないだろう。海でのスイカ割りは小学生の頃の夏の思い出として蘇る人も多いと思う。きゅうりも、田舎の川の水で冷やしたものを食べるのは馴染み深いもので、これまた格別だ。
こうして見ると、ウリ科の野菜は夏に最盛を迎える様だ。冬という文字がついている冬瓜でさえも、冬まで貯蔵できるということであり、収穫自体は夏にされる。

しかし、今回はそれらを差し置いて、トマト、ナス、きゅうりの三種に焦点を当てて話をしたい。これら三種が一緒に籠に乗せられたイメージはまさに三位一体、夏野菜の象徴ではないだろうか。

この三種の中で、ナスときゅうりについては、先祖をこの世に迎える精霊馬に加工される。私の祖父母の家にも、盆の時期にはいつも供えられている。
「迎え盆」の際にはご先祖様を早くお呼びする為に、足の速い「馬」に見立てた「きゅうり」を、あの世にお見送りする「送り盆」の際にはゆっくり帰っていただく為に、足の遅い「牛」に見立てた「ナス」を飾る。

ちなみにトマトはナス科ナス属の野菜である。特に水分を多く含んでおり、甘味と酸味があるので、同属のナスとの違いに驚いた。
因みにトマトは私の特に好きな野菜の一つで、トマトが精霊馬に選ばれなくて良かったとも思う。精霊馬にした野菜は基本的に食べることがなく、トマトが精霊馬にされてしまうと食べられる量が減ってしまう。
そもそも汁がこぼれてしまうから、不適格なのだろうけども。

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