054 JIKトレーニングキャンプ in 名古屋競輪場 後編 ーバンク走行体験ー

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昼食を終えて一息ついた後、午後は技能試験…ではなく、実際のピスト乗車でのバンク走行の体験会だ。

ところでバンク(bank)とは土手や盛土の斜面の意味があり、ここではコースのコーナーの傾斜面の意味で使われているが、競輪界ではトラック全体を指して言われることが多く、今回もその意味で使われていた。
英語で同じ綴りの「銀行」という言葉があるが、実は土手の意味が最初にあり、銀行の意味を含んだのは後になってからだという。

日本銀行のウェブサイト上のコーナー「教えて!にちぎん」によると、
12世紀頃の世界の貿易・文化の中心地であった北イタリアに生まれた両替商が、両替のために使用した『BANCO』(長机、腰掛)とする説が有力らしい。
(https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/history/j09.htm/)

因みに現在のイタリア語での「銀行」は「banca」であり、ヨーロッパ系言語によくある男性・女性名詞の区分で言うところの女性名詞だ。
その一方で、「banco」は元の通り「長椅子、机、堆積」の意味で残っており、こちらは男性名詞だ。

ラテン系といえば、現在のイタリアやスペインに代表されて日本では陽気で大雑把なイメージが先行しがちだが、語源と派生語を同じ単語に一纏めにしないところに、そのイメージに反した細やかさや美意識を感じるのが良いと個人的に思った。

さて話を本筋に戻して、CannondaleのCAAD 10 TRACKを借りて私はトラックを走った。贔屓にしているニコー製作所にも現物が置かれており、ずっと気になっていたバイクに今回乗ることが出来たのは思いがけぬ僥倖だった。
身長170cm以上の面々にはこれを、それ未満の面々にはBridgestone Anchorのバイクが貸し出されていたが、これはサイズ展開の問題だと思われる。

流石は日本のBridgestone、日本人の体型バリエーションに合わせて幅広いサイズ展開がある。
現在は廃盤となったが、かつては素材の剛性レベルまで調整可能なフルオーダーメイドモデルのRMZがラインナップにあった程だ。これがなくなってしまったのが、私がBridgestoneについて個人的に最も惜しいと思うニュースだ。

そうしてバンクに乗り出し、私を含め多くの面々は初のトラックレーサー・バンク走行体験をするのだった。

トラックバイクはロードバイクの様なビンディング方式ではなく、ストラップを締め上げて靴とペダルを固定する方式で、ビンディング以上に咄嗟に取り外すことが困難だった。
取り敢えずトラックバイク初心者の私は、右足はしっかり固定し、左足は即座に離せる程度の固定にしておいた。

乗り始めて少しの間、固定ギアならではの逆回転や、降車の感覚を確かめた後、コースを走り出した。
暫くは慣らし運転として低速で最内側をゆっくり走り、少し慣れてきてからはトップスピードからどの程度の距離を走れば安全に停車出来るかを確かめ、次第にバンクの傾斜が激しいところまで登って走る様になっていた。
車輪のジャイロ効果を活かしてバランスが取れる様に、角度を恐れずに回転を維持することが大事だと改めて実感した。

小休止を挟みながら、2時間程の体験走行が終わり、最後にJIKの入所試験の説明を受け、本日のプログラムは終了した。
改めて、お世話になった関係者の皆様に感謝したい。
本日のプログラムの映像がJIKの公式YouTubeチャンネルにアップロードされているので、併せて見てもらいたい。
https://youtu.be/XR0cCI5sgcA

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