057 戦後76年、野生の食物連鎖から国家の生存競争について考える。

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太平洋戦争の終結から既に76年が経ち、日に日に遠ざかっていく過去の敗戦の記憶と歴史。
それでも毎年、8月が近づく度に、メディアが、過去の記憶を持つ人々が、それを思い起こさせる。

8月6日には広島に、9日には長崎に原子爆弾が投下され、遂に15日に終戦した。4年弱にもわたる戦争の末、本土に原子爆弾まで落とされ、徹底的に打ちのめされた。そして主権までアメリカに奪われ、あまりに多くのものを日本は失った。

ところで、動物が痛みを感じる仕組みは危険を避け、命を守る為に作られたという。そして過去の痛みを忘れず、痛みを感じる以前に危険を察知・回避することは学習の成果だと言えよう。
忘れたい筈の過去の古傷の痛みを、しかし忘れてはいけない教訓を、76年もの時が経過しても人々は語り継いできた。
それが功を奏してか、今では戦争を経験していない世代にも、「戦争はしてはいけない」という認識を持たせることに成功している。
生物の本能だけでは得られない知見を、人類は経験と知識の蓄積や伝承によって学ぶことが出来る。歴史教育の正しく成功例と言えるのではなかろうか?

戦後、焼け跡の灰の中から不死鳥の様に蘇り、奇跡の様な復興を遂げた日本だが、その要因は1950年の朝鮮戦争を物資面で手助けをしたことによる朝鮮特需の影響が多大であった。皮肉にも、戦争で失った経済的損失分を、他所の戦争で間接的にとはいえ、取り戻したのだ。
悲惨な戦後を経験した日本が、同じ戦争から利益を得たという事実に、食物連鎖に似たものを感じてしまう。他国の凋落を糧に、日本は戦前の水準以上へと持ち直したのだ。

しかし、肉食動物が無闇に殺す為に獲物を襲わない様に、人類が対立状態から安易に戦争に移行してしまわない様に、歯止めになる考えをもっておかなければならないと思っている。その為に、戦争の悲惨さを教育しているのだと思う。

最後に、私が敬愛しており、広島県出身で被爆2世でもある音楽家の曲を紹介したい。これを聴くことで、戦後のどん底の時期を経験していない読者の皆様も、かつて起こった戦争について考え、戦争のない平和な未来を作る一助になれば幸いである。

浜田省吾 『Rising Sun – 風の勲章』


https://youtu.be/MfFBT3wYhIc

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