062 川の話①夏の終わり、鮎を求めて木曽三川。

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“私のお気に入りの場所:①龍泉洞”で書いた通り、私は幼年期に川遊びやキャンプをしていた経験の為か、綺麗な水の流れる場所が好きだ。
スピリチュアルなことは分からないが、綺麗な水の流れる場所にいると、とても心が安らぐ。
近付き過ぎれば危険だが、台風や大雨で増水した川から水が溢れているのを眺めていると、多少の興奮を覚える。こんな思いを抱くのは決して私だけではないだろう。

私が住む愛知県の北には岐阜県がある。岐阜県は「清流の国ぎふ」を合言葉に地方創生を行なっており、その名の通り、清流の流れる水の国である。
水と緑の豊かなこの土地は、夏のサイクリングにぴったりで、強い日差しの中に青々とした木々の作る木陰と、川の清涼感による二つの涼しさが癒しを与えてくれる。
その為、東海地方の友人のみならず、日本三名泉シリーズ①岐阜県 下呂温泉や自転車登坂日記 ①榛名(はるな)山で一緒に走ったT君の様な、東京の友人を連れていったこともある。

今回、私はこの岐阜県における夏の風物詩、川魚の鮎を食べようと思い、関市の洞戸(ほらど)へと走り出した。因みにここ洞戸の鮎は、6-9月の間で食べられる季節限定品だ。

愛知県北部、犬山城の北を流れる木曽川の半ばを越え、岐阜県各務原市に入る。県境を越える時の気持ちはいつも新鮮な気持ちになるが、視界に捉え切れない幅に広がるこの木曽川を越える時は、新たな旅立ちの高揚感も感じられる。
例えばポケモンシリーズのゲームで、新しいシティやタウンに移動するとBGMが変わるが、それも新たな場所への期待をもたらす効果がある筈で、私のこの感覚も似た様なものだろう。

その後も、市街地を進み、山を登り、美しい川を傍に眺めて気持ち良いライドを楽しみながら、長良川及びそこから分かれた板取川に沿って北上していく。そうこうして約2時間半、私は洞戸に辿り着いた。
ここで目的の鮎を食べようと思い、店探しも兼ねてゆっくりと北上を続けていたところ、「鮎料理 かとれあ」というお店を発見した。
当初はその先にある「鮎川」や「鮎の里ほらど」も考えていたが、自転車でそのまま立ち寄り易く、落ち着いた雰囲気でゆっくり食事が出来ると思い、ここで食べることにした。

ここで私はかとれあ定食という、鮎の塩焼き2尾に鮎ご飯/鮎雑炊、お吸物に漬物、デザートのついたセットを注文した。
鮎を食べたのは久しぶりだったが、川魚らしく脂が少なく、淡白な味と不思議な香りがあり、素材そのものを楽しむ料理の主役にはぴったりだと感じた。よりメジャーな食材としては、ししゃもが味・香りともに近いと思う。
また、腸も含めた内臓はほろ苦く、秋刀魚の内臓と同じく美味しくいただいた。この苦味に対しては、温かい緑茶がベストマッチではなかろうか?

美味しい昼食に満足しつつ、私は洞戸地域を暫く走り回った後、板取川、長良川と降って愛知県の家へと戻っていったのだが、その途中でもう一つ気になるものを見つけた。それは、「ほらどキウイ」だ。

ほらどキウイは関市洞戸地区で昭和54年(1979年)から栽培が始まり、現在は40名程の農家が栽培しているという。
洞戸地域の名産品としてアピールされている商品だが、人や果樹の高齢化が進んでおり、一時期は100万玉あった生産量も現在では30万玉に減少している。
その為、クラウドファンディングによる立て直し策が行われており、私もこの機に一口分の支援をし、食べてみることにした。

収穫時期は10月からとのことで、今回は時期尚早だった様だ。次は秋の深まる頃に、紅葉が清流を彩る頃に行くとしよう。

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