2022年の初旅は福岡県北九州市を目的地とした。
特に大きな目的があったわけではなかったのだが、久々にフェリー旅をしたい気分になったことと、門司港をじっくり楽しんだことがなかったことを思い出し、新年最初の旅先を北九州に決めた。
名門大洋フェリーが、大阪南港から新門司港へと航路を繋いでいる。その為、私は先ず大阪南港を目指した。
その間も新幹線やその他有料特急は使わず、青春18きっぷを使用しての比較的ゆっくりとした旅路を行くことにした。
今回は自転車を持ち込まず、現地でも電車を使う予定だったので、青春18きっぷは良い選択だったと思う。
名古屋から大阪へと向かう道すがら、岐阜県の関ヶ原を過ぎる頃には周りは雪景色に変わっていた。
それでも野洲辺りまで来ると雪はなく、電車に乗っている内に山を越えたのだということを改めて感じた。
そのまま滋賀、京都ときて、大阪駅に到着した。年始の夕方も、煌びやかな光に照らされた阪急百貨店に沢山の人が出歩いていた。
街路灯に舞い寄せる蛾の様に、人が光に集まるのは温かさを求めているからだろうか?寒くて暗い冬の夜、光の温かさは私の心も温めてくれた。
その後、大阪メトロへ乗り換えてフェリーターミナル駅へと到着し、乗船手続を済ませた。夜の港、私は遠く離れた外国に向かう様な気分で、大阪南港から新門司港行きの船に乗る。
船内レストランで夕食を食べている途中で、船は離岸し、ゆっくりと西へと向かう。
食事を終えて、デッキに出て海上の冷たい夜風を浴びながら、次第に離れていく大阪を振り返り、また行く先の闇を見つめてみる。光の街を離れ、新たな光の目的地を目指して、船は進む。光から光へ、旅路は繋がる。
波の少ない穏やかな瀬戸内海を進む船は、明石海峡大橋、瀬戸大橋、そして来島海峡大橋をくぐって西へと進む。
私は翌朝からの北九州旅を楽しみにしながら、波の揺れをゆりかごに、眠りについた。