086 「3日目:博多編② 石蔵酒造」

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旅初め2022-福岡への旅立ち-「3日目:博多編②石蔵酒造」

昼に最高のラーメンをいただいた後、私は市内を引き続き散策していた。美味しい食事の後で既に幸せに満たされていたが、更なる快楽を求めた結果、私は自然と酒蔵を目指していた。
博多駅にほど近い、博多唯一の造り酒屋「石蔵酒造」。ここは明治時代から続く150年以上の歴史があり、昔ながらの白壁土蔵にレンガの煙突のあるこの酒蔵の建物は、国登録有形文化財に指定されている。また、HP上でもアイコンとして掲載されており、ラベルにも書かれている「(博多)百年蔵」の愛称でも有名だ。
また、歴史ある造り酒屋としてだけではなく、イベントホールを有しており、蔵開きの様なお酒そのものに関するイベントのみならず、音楽ライブや結婚式まで幅広くイベントが行われるという。
ここで私はいつも通り、先ずは試飲をしっかりと楽しんだ。
通常の本醸造酒や吟醸酒、純米吟醸酒に甘酒やスパークリング、そして直売所限定の生酒といったラインナップを一通り試した。
当然かも知れないがやはり美味しく、また試飲可能な種類は今まで巡った酒蔵の中で一番多かった記憶がある。
各酒蔵の年間生産量をそこまで意識したことはなかったが、実はそれが影響しているのかも知れない。
生酒に関して言うと、これまで幾つかの酒蔵を巡ってきた中で、生酒を飲むことができる蔵は半分程で、全ての蔵で飲める訳ではなかった。試飲が可能な蔵ばかりではないというのも理由の一つだろう。
しかしながら、やはり火入れ(加熱処理)をしていない、正に生の日本酒を搾りたてで飲めるというのは、私が酒蔵を訪ねる理由の一つにもなっている。
新鮮な魚を刺身で生で食べたい様に、生酒を飲みたいのも、私の日本人としての価値観の様なものによるのかも知れない。勿論、全ての日本人が生魚や生卵を好むわけではないが。
ちなみに生酒と間違われやすい用語として、原酒というものがある。原酒は加水をしていないものを言い、
火入れと加水のどちらもしていない「生原酒」というものもある。度数が通常のものより2-4°程高くなり、常温保存では発酵が進み、尚且つ開栓後は味が変化しやすいという特徴がある。
出来上がった状態のものを、冷やしてすぐに飲むことをオススメされがちだが、発酵の進んだものを飲んでみるのもまた面白い楽しみ方かもしれない。
最終的に、私は純米大吟醸酒と甘酒の他に上記の生酒を2本購入し、その内の1本は贈り物とした。
本人からは「すっきりした味で辛口のキツさが良い意味で少ない」という旨の、その奥さんからは「日本酒を普段は飲まないが、飲み易く美味しかった」とのコメントをいただいた。
最近では、アメリカやフランスにも、日本から杜氏を招聘して日本酒造りをしている蔵がある。そしてフランスやイタリアをはじめとして、日本酒がワインの様に食中酒の一つとして人気が向上しているという。
日本国内ではビールやワインに押されて、日本酒の生産量が減っており、若者の日本酒離れがあるというが、フランスでワインの地位が揺らいだという話は聞いたことがなく、おそらくないのだろう。
日本酒離れではなく、ビールやワインという選択肢の増加、という状況ならば歓迎されるべきだろう。
一度離れても尚、再び戻って来たいと思わせてくれる日本酒の魅力を私は信じている。

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