090 東北夏祭り 2日目 ②秋田・竿燈まつり 

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もりしげでの昼食を食べた後、私は仙北町駅から電車を乗り継ぎ、秋田駅を目指した。今回の祭りは秋田市で行われる「竿燈まつり」だ。
竿燈まつりは、真夏の病魔や邪気を払う、ねぶり流し行事として、江戸中期にはその原型となるものが出来ていたという。青森県のねぶた・ねぷたも、このねぶりという言葉が訛って変化した結果という説もある。

元々、藩政以前から秋田市周辺に伝えられているねぶり流しは、笹竹や合歓木に願い事を書いた短冊を飾り町を練り歩き、最後に川に流すものだったという。よく知られる精霊流しの様だ。
それが、江戸中期の蝋燭の普及や、お盆に門前に掲げた高灯籠などが組み合わされて独自の行事に発展したものと言われている。沢山の灯籠が並べられた竿は、船の帆の様にも見えた。

温泉や面白展示などをアピールする駅が幾つかあり、途中で降りたいのを我慢しながら、3時間程かけて遂に秋田駅に到着した。そこから暫く歩いて宿泊所に荷物を降ろし、暫し休んだ後に再び秋田駅へ戻った。

私が到着した18時頃には屋台が既に賑わっており、私もそこで横手焼きそばや比内地鶏の唐揚げを買って食べた。待機中の組を眺め、近くに座って彼らの会話を聞きながら、開始の時を待つ。
2年間、祭が開催されなかったことの寂しさを感じていたのはやはりここも同じで、盛岡のさんさ踊りの時も、後の弘前ねぷた・青森ねぶたでも同じ声が聞こえた。
それだけ夏祭りが市民の生活に深く根を下ろしているというべきか、「夏祭りが終わらないと秋が始まらない」という感じだろうか。

19時を迎え、いよいよ竿燈祭り本番が始まった。各団体の竿燈や山車が入場し、通りを凱旋していく。秋田市や秋田銀行、秋田大学や国際教養大学、更にはANAやファミリーマートに自衛隊と、実に幅広い団体が参加していた。さんさ踊りでは自衛隊は警備担当で出動していたが、竿燈まつりやねぶた祭りでは参加団体の一つでもある。

そうして通りに全ての団体が並んだと思ったら、「ドッコイショー、ドッコイショ!」の掛け声が繰り返され始め、竿燈を頭や尻で支えてバランスを取る大道芸を始めた!竿燈まつりに関しては、開催場所や日程以外の事前情報なしでの観覧で意表を突かれ、またその掛け声に思わず笑ってしまった。
風が強かったので、時々倒れたり、信号や電柱、電線に引っかかって壊れたりしていたが、それもまた面白いハプニングだった。
これが路上のパフォーマンスなら、投げ銭を受け取る箱が置かれているところだろう。竿燈まつりにそれがないのは、投げ銭目当てにすると「真夏の病魔や邪気を払う」という祭りの主旨に反するし、秩序が乱れるからというのがあるだろう。

各団体の妙技を見ながら、私は目の前の人の成功を願っていた。「彼がこの技をやり遂げたら□□が〇〇になる」という願いを掛けながら、成功を祈った。願いの内容は何かって?それは秘密だ。神社で願い事をする時も声には出さないのと同じ様に。

竿燈まつりは七夕祭りでもあるので、芸の成否に願いをかけるのも良いだろう。短冊の替わりに灯籠を吊るすので灯籠祭りの様でもある。
夜空では織姫と彦星が出会う頃、地上でのこの竿燈まつりもこの時期だけの一期一会だ。私も久々の秋田で、初めて竿燈まつりを観られた今回の思い出をしかと覚えておいた上で、次回以降の竿燈まつりに会えるのが楽しみだ。

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