おとも苑食堂の食事でお腹をしっかり満たしただけでなく、幸せな気持ちになった後、私は再び東能代駅に戻り、代行バスで大館駅へと向かった。
大館駅から弘前駅行きの電車までもまだ1時間半程の時間があり、私は近くの秋田犬の里で、秋田犬の歴史を知り、実際にそこで飼われている秋田犬の姿を見た。ボールを追いかけ、ダクトホースの中を走り回り、細かく動き回る姿は、私が飼っている小型犬とそれ程大きく変わるものではなく、可愛いものだった。ただし、大型犬故の迫力はやはり一味違っていた。
秋田犬は日本の天然記念物指定の6犬種の中で唯一の大型犬で、渋谷駅のハチ公像のハチや、青森のわさお、朝青龍関のマサオやザギトワ選手のマサルも秋田犬だ。
10年前にはロシアのプーチン大統領に秋田犬の「ゆめ(夢)」が贈られ、ロシアからは返礼の形でシベリア猫の「ミール(平和)」が秋田県の佐竹知事に贈られた。
そんなロシアはその後、ウクライナに対して2014年の武力によるクリミア半島の配合や2022年初頭からの侵略戦争と、平和とは程遠い行いを続けている。
両国の政治的な臭いが強くてやや微妙な気持ちになるが、両者の友好関係を願って贈られているだけに、これは残念で仕方ない。
私はロシアの政治に意見するつもりはないが、平和を願っているのは確かだ。平和でなければ気軽に訪れることもできない。
新渡戸稲造先生が世界大戦の時代にも太平洋の架け橋になろうとしたのだ、当時より成熟した現代にも平和を繋ぐ道はある筈だ。
翻って日本の状況を考える。今年は日中国交正常化から50年が経過したが、その際は中国から東京の上野動物園にパンダのカンカンとランランが贈られた。
中国と香港・台湾の関係は、ロシアとウクライナの関係に似ており、後者よりも日本との関係は深い。
昨今は中国が台湾周辺で怪しい動きを見せているが、軍事衝突にならない様に、最後の一線を超えないことを願っている。パンダの様に、日本が両国の友好関係を繋ぐ架け橋となる可能性はないだろうか。