4日間に渡った東北夏祭り旅行もこれで最終日。私は遂に青森市にやってきた。ここでの見所は勿論、ねぶた祭りだ。
これまで2回、観ることはあったが、何と今回は参加する為に来たのだ!1ヶ月程前に行われた抽選に当選し、私は遂に参加することが出来た。
県内外を問わず、参加できる祭りというのは中々珍しいのではなかろうか?祭りは地域の文化や信仰、歴史その他諸々の特異性を反映するもので、民俗学的にも重要視されているだけに。祭りも全国化、グローバル化する時代の様だ。おかげで私もこうして参加することができたのだが。
弘前から小一時間の移動を経て青森市内に入り、着付けを予約していた神戸屋に向かい、私は跳人(ハネト)の衣装を着付けてもらった。
花笠は自由だが、参加条件の一つはこの跳人の衣装を着ていることだ。コロナ禍以前はこの衣装さえ着用していれば、当日に飛び入りで団体に参加できていた。今年は3年ぶりに祭りを開催できたものの、感染拡大防止の観点から、参加に抽選の当選が必要となった。
こうして衣装を身に付けて見た目はしっかりと跳人となった私は、参加団体の青森市ねぶた実行委員会の受付に向かった。割と中心地から遠かった神戸屋から、私は敢えて走って現場へ向かった。
バスもあったが、これから跳ね回ることを思ってのウォーミングアップも必要だと思い、またバスに乗る跳人など粋じゃないと思ったのだ。こんな思考をしている自分にやや驚いた、既に心も跳人になりつつあったのかも知れない。
受付で地元の跳人や祭囃子の方々と会話をすると、皆が一様に言っていたことは、3年ぶりのねぶた祭りの開催を喜んでいたことだ。
「ねぶた祭りが終わらないと青森の夏が終わらない。」。彼等は正に燻る火種を胸に、全力で燃え上がる夏の時を待っていた。青森の厳しく長い冬を前に、青森の人達は熱く燃えていなければならないのだろう。その熱に押されて私も無意識に熱くなっていた。