北を目指して300kmー北海道ライドー ④の2 礼文島・桃岩荘 桃岩時間編

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まず、桃岩荘は貴方の実家の様なものだと思ってほしい。皆様は家で家族が待っている場合、帰宅した際は何というだろうか?そう、「ただいま」だ。
ヘルパーという名の家族に促され、私は桃岩荘の門をくぐり、「ただいまー!」と大きな声で挨拶をした。すると玄関先で待ち構えていたヘルパー及び先客のホステラー(ゲスト)が一斉に「おかえりー!」と挨拶を返してくれた。ちなみにこの際、タンバリンやでんでん太鼓、果てはスクリームチキンまでも使われており、盛大なお出迎えだった。
ここで一気に打ち解けて、私はもうこの一家のメンバーになった。皆と互いに自己紹介や世間話をしていたら、同じく愛知県から来たホステラーが2名もいたのは驚きだった。

②ミーティング
19:50頃、いよいよ今回の宿泊の一大イベントが始まった。ヘルパーの皆が様々な楽器を手に、芸人の登場時の様な感じで舞台袖から登場した。
礼文島の地理・歴史や文化、自然の話を説明してくれた中で、島への愛着や誇りを感じると共に、やはり同じ離島ですぐ側にある利尻島への強い対抗意識が垣間見えた。
利尻島の空港は現在も利用可能だが、礼文島の空港は営業を中止しており、アクセス面では確かに利尻島には敵わない。しかし、この桃岩荘があることだけでも、利尻島とは一味違う礼文島の魅力であることは明らかだ。

礼文島の説明が終わった後、島に伝わる歌、有名なフォークソングや桃岩荘メンバーが作成した楽曲などを皆で歌い、踊って夜を過ごした。誰かと一緒に歌ったり踊ったりする機会は最近は全くなく、羞恥心を捨てて心のままに歌い踊るのはぎこちないながらも気持ち良くもあった。
吉田拓郎の『夏休み』を歌いながら、私は本番の夏休みの前にちょっとした夏休みを楽しませてもらったことを思っていた。

ミーティングが終了した後、私は高齢のヘルパー・バーニングさん主催のルーシーダットン(タイの自己整体法)に参加した。私以外にも2名程が参加しており、途中から女性ヘルパーも1名参加し、昨日までの長旅の疲れに効くことを期待して行った。10分程の整体が終わると、血行が良くなったのか、身体が温まってきた。関節の可動域も少し向上したかも知れない。

実はその数ヶ月前から、友人の伝手で整体を受け始めていて、その効果も手伝ってか、その頃から少しずつ調子が良くなっていた。
折角なので紹介しておこう。その友人は松尾祐弥(まつおゆうや)と言い、2019年夏にアラスカのダルトンハイウェイツーリングや、各地でのシャワークライミングといったアドベンチャー系のアクティビティを頑張っている。北海道では知床での海岸歩きを2022年の3月と、2023年の8月にそれぞれ1週間程行った。
彼のInstagramアカウントは↓

友人は松尾祐弥(まつおゆうや)のinstagramリンク

※本人からは悠々〇〇で紹介することについて了承済み。

③消灯・起床
ここ桃岩荘では、22:00に完全消灯し、翌6:00に起床することになっている。時間は正に自衛隊や警察学校、競輪学校と同じで、日本の伝統の様なものを守っている様に思えた。ミーティングでは一般人にとっては素面にあるまじきハイテンションで歌い踊る一方で、館内禁酒も併せて妙に規律があるのが不思議で寧ろ興味深かった。
羽目を外した馬鹿騒ぎにはならない様に、線引きをした上で大いに楽しむということだろうか、それもまた古き良きユースホステルとしての健全性を保っている要因なのだろう。

起床すると、これまた音楽を流しながら、今度は部屋の掃除大会が始まった。
ドラゴンボールの『CHA-LA HEAD-CHA-LA』や井上陽水の『夢の中へ』等、やや古めながら皆が知ってる歌を歌いながら雑巾掛けや塵取りを行った。
楽しみながら建物を清潔に保つ、良い工夫だと思った。
この建物は鰊番屋を改修したもので、布団のある2階部分は割と暑かった。北海道らしくエアコン等はついていない為、私は布団の中ではパン一だった。

④チェックアウトと見送りの舞
一泊だけの私にとって、チェックアウトの時間が近づいてきた。各ホステラーのフェリーの時間に合わせて何回かに分けて行われていた。
私はその日の夕方に北海道を発ち、愛知へと帰る必要があり、またそれまでに宗谷岬周りのサイクリングの予定もあった為、名残惜しいが9時頃のフェリーで礼文島を去った。その際にも到着時と同じ様にヘルパー及び残留組のホステラーの皆が船着場で見送りに来てくれて、昨晩のミーティングで踊った踊りを再び披露してくれた。彼等の熱烈な歓迎と見送りに私もまたこのユースホステルを訪れたいと思った。

私もよく利用するFDAが、7月の数日程で名古屋空港と稚内空港のチャーター便を運行していることを後になって知ったが、どうやら2024年も催行予定らしいので、次回はこれで稚内・礼文・利尻のトライアングルツアーを楽しもうと思った。

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