桃岩荘の皆と暫しの別れを告げた後、私は再びハートランドフェリーに乗って稚内港へ到着した。次の目的地は北海道本体の最北端・宗谷岬だ。
港で自転車を組み立てた後、まずは昼食をということで、近くにあるフレンチのレストラン”K ら・せーぬ”へと立ち寄った。実は稚内のモシリパのヘルパーからオススメの飲食店の候補として受け取っており、この日に寄ることを決めていたのだ。
メニューはデザートも含めて豊富にある中で、私の目を引いたのはその日のオススメのブイヤベースだった。北海道の海鮮を豊富に使ったものだという期待もあり注文し、実際に提供された実物は期待以上に美味しく、特にホタテやイカの様な海鮮具材のサイズがとても肉厚で、今回の北海道旅行の中でも1,2を争うレベルだった。
美味しい昼食で満たされた心身の勢いに乗り、そのまま宗谷岬を目指して一直線に北上を始めたが、途中で遂に今回の旅で最初の雨に見舞われた。雨で身体が冷えるのを感じつつ、海を眺めながら走り、間宮林蔵の樺太出港の記念碑などに立ち寄りながら雨以外には特に何事もなく宗谷岬へと到着した。
最北端の地のモニュメントを前に記念撮影をし、すぐ側の道から丘に上がり、草原に放牧されている牛を眺めて走った。以前に愛媛の四国カルストを友人と訪れた時を思い出した、あの時も雨が降っていたなぁ。
そして稚内空港へと到着し、飛行機に搭乗して名古屋へと飛び立った。機内から下を見下ろしてみると、白い袋に詰められた牧草がまるでラムネ粒の様に点在していた。たまに緑と黒の縞模様で西瓜の様なものもあったが、これは牧場の人の遊び心だろうか?
こうして今回の道北旅行は終わったが、寂しさは残らなかった。道中の厳しさを思いながらも、来年もまた訪れようと思える、晴れやかな気分だった。