北海道を訪れるのは今回でもう何度目だろうか。若い頃も時々は来ていたのだが、名古屋空港から丘珠空港への直行便が2023年3月26日に就航してからというもの、これで3度目になる。北海道に友人がいることもあり、利便性が向上したことでより気軽に北海道を訪れやすくなったのは非常にありがたい。
それも手伝って、今年の夏も再び友人を訪ねつつ、北海道の自然を自転車で楽しむ為に北海道を訪れた。今回はそこで楽しんだ美食についての話をしたい。
今回のお店は、『すみれ』だ。おそらく名前だけでも何のお店かが分かる人も多いことだろう。札幌のみならず横浜にも進出し、すみれ系ラーメンと呼ばれる系列の総本家だ。
北海道と言えば、大自然の恵みの野菜や海鮮、畜産加工品まで兎に角美味しいものが多いのは有名だが、その中でも札幌市内に数多ある、都会の味の代表とも言うべきラーメンは外せないと思い、今回も札幌ラーメンを一軒訪れることにした。
その中でも、9年前にかつて札幌に住んでいた義兄にオススメされて食べた初の札幌ラーメンがすみれだったことを思い出し、今回食べる札幌ラーメンの候補に上がった。
今回、私は王道の味噌ラーメンを注文した。私が並び始めた17時頃は開店後間もなく、既にある程度の行列ができていたが、店員の手際の良さと客側の回転の良さで、予想より早くに順番が回ってきた。
ごゆっくりどうぞとは言われたが、お店の為にもあまり長居はできないところだ。
着丼したところで先ず、ラードの煌めくスープを飲んでみた。味噌の濃厚な味わいを全体に感じる中で、生姜がひっそりと、しかし確かに存在していた。
昔の記憶を想いだして対比してみようとしたが、流石に9年前の味を思い出すのは難しかった。ただ、どちらも夏の思い出で、しかし涼しい北海道の夜に熱く香り立つスープの旨味だけは、2度目の時にも何となく思い出された。
ちなみに、こちらが9年前に食べた際のものだ。当時はチャーシュー麺を食べたが、今回は2軒目を想定していたので、基本の味噌ラーメンにした。この夜のグルメ探訪はまだ終わらない。
短い時間ではあったが、濃厚な味わいや時間を楽しみ、空にした丼の底を見ると、掠れてはいたが、「感謝」の文字が確かに読み取れた。
常に行列が絶えず、多くのお客様を満足させてきたことだろう。お客様への感謝も然り、客としての私もこの名店が残り続け、また多くの後継者を残していることに感謝をしていた。
惜しまれつつ様々な要因で消えていく名店がある中で、再び来店できる見通しがあるのはとても安心するものではなかろうか?
また北海道を訪れた際は必ず来店しよう、そう思いながら店を後にしたこの身は、札幌の夜風の涼しさに当てられても冷めることのない温かさに包まれていた。