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和歌山再び、南紀の旅。 
三日目編

短くも楽しい旧来の友人との旅行の最終日。昨日と打って変わっての晴天に恵まれ、動きやすい一日になると期待した。
その日は熊野本宮大社へと向かうつもりで、宿のレンタサイクルを利用しようと考えていたが、変速機の調子が悪いとのことで、現在は対応していないと断られてしまった。
徒歩で行けないこともなかったが、そこそこ距離もあり、後で新宮に戻る為のバスの時間も融通が利かない為、次回に持ち越すことにした。その代わりに、朝風呂として川湯温泉を再び楽しむことにした。

冬のよく晴れた朝の冷えた空気に、温泉の湯気が浮かび、静かな山中の清々しい朝だった。温泉に浸かれば、身体の温かさと頭のひんやり感で、はっきりとした意識を持ちながら、温かさと心地良さを感じられた。
いつもは風呂にはそう長く入っていられないのだが、ここでは1時間程も入りながら、友人と談笑することができた。ついでに河原で周りには小石が沢山あったので、石積みをして遊んでみた。

地獄の賽の河原なら鬼に崩されるが、ここは温泉なので、自分の意思で石を積み上げるも崩すも自由だ。温泉に癒やされ、極楽、極楽♪と。

こうして川湯温泉を明るい朝に見渡すと、改めてここは巨大な露天風呂だと思った。冬以外は各人で作るが、冬は自治体側で重機を使用して温泉の枠を作っているので、こうして大人数が入湯可能な大きさになっているのだ。

温泉をしっかり楽しんだ後、我々は新宮へと向かった。お互い、大阪と名古屋で行き先は違えど、どちらも新宮に特急が発着する為、ちょうど良い位置だ。
私は金曜日に訪れたが、友人はまだ訪れていなかった熊野本宮速玉大社に来社し、参拝しながら境内を散歩した。この3日間で2度目の参拝で、今回は旅の終わりに無事に戻ってこられたことを感謝し、ついでに露店で黒糖きな粉餅を購入した。
本体を職場でのおやつとした後、残ったきな粉をお湯と牛乳に溶かして飲み、無駄なく使い切った。

最後に、速玉大社の側にある、はやたま欧食堂ポルトにて、友人と昼食を食べた。牡蠣の入ったトマトソースのパスタを注文し、今回の旅で初めて、地域特有ではない食材がメインの料理を食べた。
麺はやや細めで、茹で時間を短くする為か、もしくはソースとの絡ませ易さを狙っているのだろうか。私自身は麺は1.7mm程のやや太めが好きだが、今回のものも、ソースがよく絡んで美味しかった。

程なくして友人と別れ、それぞれの目的地へと向かった。現地集合の時、同じ方向に一緒に行くのも道中の会話や寄り道が楽しいが、お互いの中間地点で集まるのも、それぞれの話を分かち合えるのが面白い。
私は再び、特急南紀に乗って名古屋へと帰った。帰りも相変わらず、良い電車だった。
時々眠りながら、今回の旅は食事に温泉に観光にと、満足感の高い旅だなぁと振り返った。一人でも友人とでも、また行きたいと思う。

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