024 日本一のリッチ村・飛島村

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愛知県海部(あま)郡には、飛島村という村がある。名古屋港に面している港村だ。
ここは人口5,000人程の小さな村ではあるが、自治体の財政健全度を示す財政力指数(基準財政収入額を基準財政需要額で割った数値)が2.0を超える唯一無二の自治体なのだ。

この数値が1.0を超えた自治体には地方交付税が交付されなくなる。都道府県レベルでは東京都のみで、政令指定都市では川崎市がここ数年、1.0以上を達成している。そして軽井沢町や箱根町といった人気観光地もその中に含まれている。
上記の事実を踏まえて、飛島村の2.0超えが如何に断トツかをご理解いただけただろう。

そして愛知県は飛島村だけでなく、トヨタ関連工場の影響か、豊田や刈谷、大府や幸田町といった多くの自治体が長期的に不交付だ。その為か、都道府県レベルでのその数のトップは常に愛知県であり、東京は常に2番手なのだ。

元々は何処にでもありそうな田園風景の広がる寒村だった上、地震や伊勢湾台風でボロボロになり、1960年の財政力指数は僅か0.2程だったという。
ところが、その約10年後に名古屋港西部臨海地帯の一部を編入したことで、伊勢湾岸地域に臨海工業地域が造られ、同村南部の臨海部が一大物流拠点となり、大手企業が続々と進出したのだ。
その結果、村の財政は急速に改善され、日本一裕福な自治体へと急成長を遂げたのだ!

海抜0メートル以下の対地震・津波の超高リスク立地のデメリットを抱えているのが個人的には懸念なのだが、臨海のメリットを最大限に活用した攻めの戦術がここまで村をリッチにしたのも確かだろう。

更に人口が少なく、財政が潤っているということから、村民へのサービスが半端ではない。2010年に設立された小中一貫の村立飛島学園では、初等部4年間、中等部3年間、高等部2年間の区分で9年間の義務教育がされている。

そこで驚愕なのは8年生(中学2年生)を対象にした海外派遣事業だ。1991年から始まった制度で、なんと村の全額負担で姉妹都市のアメリカのカリフォルニア州リオビスタ市等への海外派遣研修を実施している。

私は中高一貫校で6年間の教育を受けてきたが、これだけでも確かにプログラムが組みやすいという。しかし、ここまでやれる学校ではなかったし、他にも聞いたことがなかった。

今回、飛島村のことを調べたことで、ふとしたきっかけで物事は大きな転換をすることがあるという教訓を得ることができた。

個人の人生レベルにおいても、そうしたチャンスは意外と転がっているものなのかもしれない。そんな中で私達がすべきことは、そうしたチャンスを見つけた際に確実に手に入れ、活かす能力を磨くことなのだろう。

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