031 日本三名泉シリーズ①岐阜県 下呂温泉

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皆様は日本三名泉と呼ばれる温泉地をご存知だろうか?一般的に、有馬温泉(兵庫)、草津温泉(群馬)、下呂温泉(岐阜)の三つのことを指す。
室町時代の京都五山相国寺の詩僧・万里集九の詩文集「梅花無尽蔵」にこれら三つの温泉が記載されていることを受けて、江戸時代の儒学者・林羅山が自らの詩文にこれらの温泉名を残したことに由来するという。
因みに林羅山は徳川家康〜家綱の四代将軍に仕えた儒学者で、重要な役職に就いていた上に江戸からの道程を考えるに、下呂温泉を実際に訪れていたかは定かではないが。

その林羅山の像が何故か唯一設置されている、この下呂温泉に、私は高校生時分以来の約十年ぶりに訪れた。
今回は榛名山で一緒に走ったT君にとっての初中部であり、また今回も一緒に自転車旅をしたいという要望を受けて、私が自然と観光、癒しを楽しめるルートを企画したものである。
一緒に名古屋駅から出発し、最終地点の富山から東京に帰るまでの二日間の道中の一日で、下呂温泉に立ち寄った。
しかし久々に会った彼は以前と比べてかなり痩せていて、登坂にはピッタリな体型になっていた。聞くところによると、勤務先のマラソンチームにも参加し始めたという。今回はそのまま富山まで抜けたが、時間が許せば乗鞍にでも連れて行けば良かったかも知れない(笑)。

兎にも角にも彼と名古屋駅を出発し、基本的に41号線を北上しながら、途中で犬山城やぎふ清流里山公園に寄り道しながら、夕方に下呂温泉へとたどり着いた。
この犬山城は、先日に訪れた松本城と同じく、天守が国宝指定された五城のうちの一つである。犬山城のことについてはまた詳しく別の記事で触れるとしよう。

下呂温泉はアルカリ性単純温泉で、他の二つとは性質が全く異なる温泉だ。
草津の様な強烈な硫黄臭はなく、有馬の様な鉄分もないが、滑らかな肌触りと優しい香りも他二つにはない特徴だ。箱根や道後、湯布院などもこれにあてはまる。
夜の風を感じながら、町を見下ろして入る温泉は格別で、一日のあらゆる苦労を肯定出来る瞬間だ。

飛騨の郷土料理をいただき、温泉を楽しみ、宿に戻る。食事の頃には夕闇が青く沈んでいたが、温泉を出て戻る頃には黒い夜の帳が降り切っていた。

その空中に、滲む街灯の光がまるで残像の様に浮かんでいる。高速道路を流れる光の粒の様な、或いは別世界の層の光が現世に現れたかの様な、不思議な光景だ。
私は今、どの世界に立っているのか。夢と現実の二つに限らない、もう一つの世界があるのかも知れない。次元を超えた旅が出来る時代もくるのだろうか。

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