旅初め2022-福岡への旅立ち- 3日目:小倉 北九州市漫画ミュージアム
博多で美味しいラーメンを食べ、日本酒を飲み、いよいよ満足したところで、私は小倉へ移動した。
フェリーが出るのは新門司港だが、そこまでの送迎バスが小倉駅からも発車する上、福岡を離れる前にもう少しだけ新しい場所を訪れてみようと思ったのだ。
今回はそれ程時間的余裕はなかったので、駅周辺で楽しめることをすることにした。
小倉駅の付近には小倉城があるが、当時の観覧時間は過ぎていた。そこで駅周辺の施設を見ていたところ、北九州市漫画ミュージアムの特別展示があることを知り、バスまでの時間を過ごすことにした。
ここ北九州市は「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」の作者として知られる松本零士氏ゆかりの地であり、小倉駅には銀河鉄道999の車掌のオブジェが置かれている。
以前に訪れた敦賀駅前の通りにも、上記2作品の登場人物の銅像が複数置かれていたが、これは明治時代に東京とパリを結ぶ「欧亜国際連絡列車」が敦賀港駅を経由しており、国内有数の鉄道と港の町として知られていたことに因るらしい。
漫画ミュージアムに入ると、沢山の漫画作者のサインが展示されており、その先には漫画の切り抜きや当時の週刊少年マガジン等の資料、そして松本零士氏の漫画からアニメへの構想に至る話や、実際に氏のアニメを放送するコーナーもあった。
まだアニメがそれ程一般的ではなかった頃から、アニメ化した時の動きも考えて漫画を描いている人が、確かに存在していたことに私は驚いていた。
アニメは画像を連続してコマ送りにすることで動いている様に見せる動画なので、漫画では読者の中で補完される部分や、連続した動きの描写を表現することが出来る。
戦闘や激しいアクションを含む緊迫したシーンの表現は、アニメの力の見せ所だろう。
そしてそれとは真逆の、沈黙や間を表現することにおいても、アニメ内の実際の時間経過や声優の演技がリアルな情景を見せてくれる。
アニメーション(animation:生命のない動かないものに命を与えて動かすこと)の言葉通り、アニメ制作は動かない絵に時間の概念を与え、動かす行為だ。時間の流れがあるからこそ、静と動の対比が意味を持つのだろう。
人生も同じで、動き続けるばかりでも、止まり続けるばかりでもない。一生懸命に頑張るべき時もあるし、身体と心を休めるべき時もある、メリハリは大事だ。
ミュージアムの展示を一通り見回った後、最後の漫画コーナーで漫画を1冊読んだ頃に、小倉発・新門司港フェリーターミナル行きのバス到着の時刻となった。
そして船に乗り、段々と遠ざかる夜の港の灯りに、福岡旅行の終わりを感じていた。
大阪に着く頃にはひとときの夢の時間も終わり、朝の陽射しとともに翌日の仕事始めの現実が近づいていた。あと少し、もう少しと、名残惜しさと現実逃避を混ぜこぜにした気持ちも抱きつつ、自らメリハリを大事だと言った手前もあり、前向きに頑張ることにした。
5月末で終わったその仕事を今になって振り返ると、必死で頑張った経験は能力面以上に、仕事への取り組み方の姿勢の面に良い効果があった。
その仕事が終わって2週間程の休暇もあり、再び活力を得られたのは、メリハリの大事さを自ら証明した様だ。
次回の旅を楽しみに、それまでの日常も全力で取り組んでいきたい。