さっぽろ雪まつり2024 氷雪の芸術、自然と人工の結晶。

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『冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。〜(以下略)』
清少納言 作『枕草子』の冒頭の引用だが、冬は早朝が良く、雪が降っているのは言わずもがな素晴らしいという様な意味で、確かに澄んだ空気の冬の朝は寒いながらも良いもので、雪が降るのも美しい冬景色だ。
しかしながら、冬は寒さもあり、布団の中から出たくないと思ってしまう人は私以外にも沢山いることだろう。『春眠暁を覚えず』とは別の理由で、寝過ごしてしまいがちだ。

この通り、千年以上も前から「冬といえば雪」だと言われてきた。他の季節にはない象徴的なもので、冬の風情を語る際には外せない。
そんな雪の芸術を鑑賞すべく、2024年2月、私は札幌市へとやってきた。目的はこれまで興味がありながらも、別の祭りや用事の為に訪れることができなかった、さっぽろ雪まつりだ。
2024年の開催で第74回となるが、このまつりもコロナ禍の影響を受けて2021,2022年の開催がなく、他の多くのまつりと同様に、今回が4年ぶりの無制限の開催ということになるだろう。

いずれにしても、私にとっては初のさっぽろ雪まつりだ。雪まつりの類は弘前の雪燈籠まつりに2021年に行ったことがあるが、性格は全く違っていると感じられた。
雪燈籠まつりには幽玄な美しさや妖しさを主に感じた一方で、さっぽろ雪まつりには美しさもありつつ、雄大さ・豪壮さといったものも大きな魅力だと感じられた。これはそのまま、青森と北海道の自然感の差異が出ているものと私は思った。

さっぽろ雪まつりの会期中は、すすきの、大通公園、つどーむの3箇所で展示やイベントを行っていたが、私は今回はすすきのと大通公園の会場のみを周ることとなった。つどーむまでは少々距離があり、雪の中を歩いていくのも、混雑の中をバスに乗って向かう余力がなかったというのもあるが、何より札幌在住の友人との予定を考慮した上での選択だった。

冬場もFDAが丘珠空港が使用できたのならば、つどーむ会場を真っ先に見周ることができたのだが、滑走路の都合で冬季は閉鎖されているのが現状だ。自衛隊の基地もある上、札幌中心部にも近いので、観光だけでなく今後の物流効率の向上の為にも冬季も使用可能になる日が来ることを期待している。

まずは、すすきの会場のレポートをしよう。ここではよくテレビ中継等で映される雪像ではなく、氷像が展示されていた。よく晴れた冬の朝の日に照らされた氷像は透き通りながら光を反射して輝いており、ガラス細工の様でもあった。
細かい細工がされたところにまた格別の美しさがあり、これらを見られたことがまず私にとっての雪まつりに来た意義となった。

そして次は、大通公園で雪像を見て周った。企業や大学は勿論、一般市民も雪像を作製しており、そのテーマも各々自由で非常に多くの作品が展示されていた。
らき☆すた20周年、ゴジラ−1.0や機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 公開記念等、2023-2024年は色々なイベントがあった為に、企業製作の雪像もかなり気合いが入った作品群が多く、ライトアップ等も見応えがあった。
昨年末に紅白歌合戦を大いに賑わせた伝説的ロックバンド QUEENの雪像もあり、”WE WILL ROCK YOU”や”WE ARE THE CHAMPIONS”等の代表曲を流していて、そこに立っていたのぼりによって同日にQUEENが来日してライブを開催していたことを知った。
雪まつりが予想していたより混雑していなかったのは、それが理由かも知れないと思い、私もライブ開催の情報を持っていたらそちらに応募していた可能性が大だっただろう。

市民雪像の方も、千と千尋の神隠しの湯婆婆や、ドジャースに移籍して大活躍した大谷翔平選手等、力作揃いだった。特に湯婆婆は市民雪像の人気投票で1位、大谷翔平選手は3位という高順位になったらしい。
20年近く前に観た作品のモチーフが、ここ最近の話題の作品のものの中で1位となったことは快挙であるし、若い世代の人達に過去の名作を注目してもらえるという意味でも見事な功労だと思った。

また、それらとは別に巨大な大雪像が数点あり、これらはゴールデンカムイのキャラクターや新球場のエスコンフィールドHOKKAIDO、JRAのサラブレッド等、北海道に関係のあるテーマで作られていた。
その中でもゴールデンカムイの雪像は特に印象的で、昼と夜の両方の姿を見た上で、特に夜の姿が美しかった。
『氷像は陽射しに照らされて美しく輝き、雪像は夜闇の黒との対比の白い雪化粧を纏って目映くある。太陽と月の様でもあり、女性の美しさを表現している様だ。』
枕草子よろしく、悠々〇〇の随筆を一文残しておこう。

また、JRA競馬の雪像に対しては、前記事で取り上げた弘前城 菊と紅葉まつりの時にも観たプロジェクションマッピングが行われていた。
北海道の四季を駆け抜けるサラブレッドの姿が映し出され、最後にレースでの勝利で締め括るというストーリーだった。映像が綺麗なのは勿論のこと、依代になる像の完成度も高く、やはり像の完成度はプロジェクションマッピングの完成度にとって大切だと改めて認識した。
さっぼろ雪まつりは像の製作にかける力が凄く、きっとこれからも素敵なプロジェクションマッピングを作り上げて行くだろうと、次回への期待もより高まった。

また、それらとは別に巨大な大雪像が数点あり、これらはゴールデンカムイのキャラクターや新球場のエスコンフィールドHOKKAIDO、JRAのサラブレッド等、北海道に関係のあるテーマで作られていた。
その中でもゴールデンカムイの雪像は特に印象的で、昼と夜の両方の姿を見た上で、特に夜の姿が美しかった。
『氷像は陽射しに照らされて美しく輝き、雪像は夜闇の黒との対比の白い雪化粧を纏って目映くある。太陽と月の様でもあり、女性の美しさを表現している様だ。』
枕草子よろしく、悠々〇〇の随筆を一文残しておこう。

その後の夜、札幌の友人に加えて、前記事の弘前旅でも一緒の友人と合流して3人で居酒屋 掌(てのひら)へと入り、北海道の食事と地酒を楽しんだ。
着席したところで、21時以降は日本酒が3割引になるとの案内があり、美味しい料理も相まって北海道の地酒から定番の日本酒まで、色々と飲み比べてみた。
北海道の定番のザンギや刺身盛り合わせで最初の数杯を楽しんだ後に、秋刀魚の腹腔にご飯を詰めた秋刀魚寿司の”さんまのまんま”という、バラエティ番組名に重ねてきた名物メニューに3人共々惹かれて注文した。
見た目からイカ飯を想像して食べてみたところ、ご飯は味付きで、どことなく蒲焼き丼を食べている感覚もありつつ、確かにイカ飯の様でもあった。
イカ飯はかつての戦後の北海道において、貴重な白米を節約しつつ量を確保する為に生まれたという。現代では寧ろ、こうした創意工夫が残って名物化した結果、各地方に価値を付与していると思うと感慨深いと思った。

ひと手間ふた手間、創意工夫を楽しむ人間の活動があってこそ各地の祭りは面白く、雪まつりもその結晶だろう、雪だけに。

居酒屋 掌(てのひら)
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