
11月初頭、私は鳥取県を8年ぶりに訪れた。前回は米子を拠点として境港や漁港辺りを楽しんでいたので、鳥取市内という意味では初の訪問だ。
普段は就航していない名古屋空港から鳥取空港までの航路を、FDAのチャーター便が組まれたことで今回は便利に訪れることができた。早朝に名古屋空港を発して、9時頃には鳥取空港に到着した。
初の鳥取空港を観察してみると、沢山の『名探偵コナン』関連のイラストや展示があった。
この鳥取空港だが、『鳥取砂丘コナン空港』という名前がついており、『名探偵コナン』の作者の青山剛昌先生が鳥取県の出身であることを受けて付けられている様だ。
この後も生誕の地に立ち寄って多くの展示を見られた。鳥取に対して、漫画の様に殺人事件ではなく、町おこしや大移住の様な嬉しい事件を起こしてくれるかも知れない。

自転車を受け取った後、空港内にも店舗のある『すなば珈琲』にてモーニングをいただいた。
「スタバはないが砂場はある」と半ば自虐的に喧伝してきた鳥取だが、2015年になって遂に国内最後の地・鳥取にスタバが誕生した。今ではスタバも砂場もあり、グローバルとローカルのいいとこ取りのいいとこ・鳥取、と名乗ってはどうだろうか?(笑)
モーニングセットはシンプルなトーストやサラダに加えて、味噌汁が付いた妙に和洋折衷の品揃えだった。
コーヒーは朝煎りなのか、さっぱりとした味わいだった。普段はコーヒーに濃厚な味わいと香りを求める私だが、モーニングとして楽しむにはこれも良いのかも知れないと思った。
モーニングといえばパンとコーヒーが一般的だが、私にはこの2つがよく合うセットとはあまり思えないのだ。チョコレートやアーモンド、そこにミルクや砂糖があれば良いと、無理に腹を満たすセットにしなくても良いと思っている。

モーニングを楽しんだ後、大山を目指して西へと走り出した。大山は中国地方の最高峰で、登山だけでなく紅葉の季節にも特に人気のスポットだ。今年の紅葉はここで見ようと思い、旅の計画段階で狙っていた。
鳥取空港から大山まではうみなみロードという自転車道が整備されており、日本海を眺めて走る絶景ルートで走ることができた。
道幅も広く、信号が少ないので走りやすさは格別で、朝の太陽の輝きと相まって景色は最高、旅の始まりを実に幸せな気分で切ることができた。
空港を出てすぐに白兎神社で寄り道をし、参拝した上で普段は買うことがない御守を買った。
通常の御守を一つと、砂丘の砂で作られた兎の御守を一つ購入した。前者は私の親友へのものとして、後者は無病息災を願うもので自分自身へのものとした。
因幡の白兎と言えば、伝承が中々にエグいものがあるのを皆様はご存知だろうか?
古事記曰く、隠岐の島に住む白兎が、気多之前(白兎神社のある場所)へ行きたいと考え、和邇(ワニと読むが鮫のこと)を騙してその背中を渡って来たという。しかし騙されたことを知った和邇によって全身の毛皮を剥がれて白兎ならぬ赤兎になってしまったという。
その後、丸裸にされた白兎がその痛みで砂浜で泣いていると、そこに大国主命の兄神が通りかかった。その教えに従い、海水で体を洗い、風に当たってよく乾かして寝ていると、以前より更に痛くなったという。
その後に大国主命が通りがかり、河口に行って真水で体を洗い、蒲の穂を纏う様にと教えた。そうすると、毛皮はやがて元通りになり、白兎はそのお礼として、八上姫と大国主命の縁を取り持ったという。そこから、白兎神社は医療と縁結びの神社として有名になった。
この伝説における教訓は、人を騙してはいけない、嘘がバレたら酷い目に会うことがあるということだろうか。或いは一度騙された白兎がもう一度、別の神様を信じて救われたということに、神様への信心もしくは人を信じることの大切さを説くものなのかも知れない。
伝承を偽りと断じて切り捨てるのではなく、その話の中にある意図を読み取って今後に活かしていくことにこそ、伝承を伝えていく意味はあると私は思う。
悠々〇〇も気付けば5年以上続けているが、私は生きている限り続けて行こうと思っている。いつかは後世の誰かが注目し、何かの役に立つ時が来るのかも知れない。(笑)
