010 ある自転車乗りの人生観の話

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私はロードバイクに乗り始めてから、日本の各地を走ってきた。時々はロードレースにも参加しているが、基本的に旅を中心に活動している。
目立った山を登ったり、島や琵琶湖や霞ヶ浦といった場所を一周する等、雑誌でも特集される様なことは大抵やってきた。

そうしてかれこれ10年以上が経過したが、無心で走り続ける中、ふと我にかえる時がある。自分はここまで来るのにクランクを何回、回してきただろうかと。
1分間で約80回、1時間で約5,000回。6時間も回せば約30,000回だ。

クランクを回すのは時計の針が回るのに似ている。時計の秒針は1日の内に盤上を1,440回、周回する。
1時間も自転車に乗れば、秒針よりも多く周回運動を行っていることになる。このまま時を追い越して、未来へと駆け抜けられないだろうかなどと空想に浸るのもまた一興。

こうした当て所ない旅と自転車運動を繰り返して、私は何処に向かおうとしているのか。それはまだまだ見えていない。
私の人生のレールは線状に前へ向かって伸びているのか、それとも螺旋階段の様に周回しながら上へと続いていくのだろうか。

ともすれば私の以前までの人生は、サーキットの様に閉じたルート上を何度も繰り返し、同じことを繰り返していたのかも知れない。
しかし、今は違うと思っている。思いがけない人との出会いや助けがあり、ここ数年の私の人生は当初の予想からは大きく外れた様に思う。

樹木が年輪を重ねて太くなる様に、経験を何層も塗り重ねて太い人生にしたい。人生のヒルクライムに終わりはないのだ。

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